グレイプ"バイン"

GRAPEVINE「Sing」を買った。いつも思うのだが、略称の"バイン"が本当に死ぬほどダサい。ダサすぎて、人に薦められない。というか、半径5mの友人・知人はGRAPEVINEを一切知らない。あと、この略称を考えた人間も、この言葉を臆面も無く使っている人間も恥を知るべきだ。とりあえず、"バイン"って文字を見るとイラッとくる。ツアー名にもあった気がしたが、その頃は今ほどファンでもないから、そんなにイラッとはしない。
そんなことよりも『ジュブナイル』と『Core』が素晴らしすぎる。まだ、この2曲しか聴いていない。
・『ジュブナイル
 歌詞が、とにかく身に沁みる。「どこかで会えるととぼけていた」という歌詞を、サビで歌うのが似合うバンドはGRAPEVINEだけ。一番おいしい箇所で入れるべき言葉ではないはずだが、この曲にはここしかないと聞かせることが出来る力量。"感情の淀み"という隙間産業を、的確に表現できる唯一のバンドだといえる。他のバンドは出来ないし、大ヒットしないと分かり切った、そんな狭すぎる層を狙ってもいないだろう。
 このPVには、イラッとさせられたけども。
・『Core』
 餓死日記や殺人者の本を読む、ここ最近の自分の生活に合っているから。深く静かに、熱い。しかも、どことなく暗い。レディへというより、懐かしのマンチェビートに近い。『アンチ・ハレルヤ』も、意外とそっちを向いた音だと思っている。
 
 GRAPEVINEの魅力を誰に頼まれるわけでもなく考えると、歌詞の力が大きいと思っている。
 私は想像力を喚起させてくれるタイプの歌詞が好きで、これが伝えたいという意思のある歌詞は聴きづらくなる。
 ストーンズの「Brown Sugar」は、コカインと砂糖のダブル・ミーニングだっていう話は有名なのかもしれない。このように深みがあるんだがないんだがわからんが、受け手にイメージを限定させない歌詞というのが自分の好みであるようで、間違いなくGRAPEVINEもこの系譜にある。歌詞がとにかく、何も歌っていない。『君』とあっても、『LOVE』の匂いが殆どしないのが多い。歌にあるべきとされるメッセージも感じられない、そんな力の抜けた感じがいい。
最後に、こんな言葉を。