『映画脚本家笠原和夫 昭和の劇』感想

あまりにも面白いので、印象に残ったものだけをレジュメ的にまとめ。
226事件の真相→昭和天皇&兄弟の出生から始まっている。昭和天皇秩父宮の対立から見る、「壬申の乱」的視点。
宮中基重大事件も、出生から。つまりは、宮廷での権力闘争。
そして、1・新しい社会構造(維新)行動派、2・軍革命(統制派の排除)、3・実戦革命、という3つの流れの存在。
社会情勢として、諸外国からの圧力による軍縮→リストラ、不況による絶対的貧困(天皇=軍隊→絶対的関係)、行き詰まりの打開としての革命。
首謀者将校達(現場監督者=現実)は武力でもって、統制派=東条・石原幹部達の排除、そして来るべきアメリカとの戦争、それを回避する為に革命する目的もあった。
ところが、将校と繋がっていた北一輝の革命は1・2路線であり、3を推し進める首謀者将校達と相容れず。そして、彼が情報をリークした先は西園寺公望天皇−西園寺、天皇の側近:本庄繁−首謀者将校、秩父宮−首謀者将校と人間関係が複雑すぎ!
様々な思惑が絡み、事件へと至る…。
終戦直前の天皇周辺の権力闘争も読み応えあり。仮に革命が成功し、大統領制になっていたら、先の大戦は回避できたのかとか色々考えてしまう。
笠原氏曰く、『そういう戦後60年間というのはほとんど遊びに等しいんであって、本当に日本人が人間として自立するためには、まだまだこの混乱は続くべきだと思うよ。』
そう、今は神のいない時代なのだ。