読んだ本のメモ

野口旭「間違いだらけの経済論」(1999年

経済
伝統派…経常収支をもっぱら輸出と輸入の差額として捉え、その輸出入に影響を与えると信じられている諸要因(市場の開放性・閉鎖性、国際競争力、為替レート等々)にのみ注目する見方
貿易黒字・赤字の問題〜基本的に一国全体のマクロ的な貯蓄・投資バランスの問題であるから、そこが変化しない限り、何をやったところで貿易黒字・赤字は増えも減りもしない。

貿易収支を考える際の枠組み
(民間貯蓄ー民間国内投資)+(政府収入ー政府支出)=(輸出ー輸入)
民間における資金余剰     マイナスの際は国債発行 経常収支

経常収支が黒字〜海外に資金供給  経常収支が赤字〜海外から資金を受け入れる

国際収支〜1、経常収支=貿易収支〜その場限りで終わる財やサービス 2、資本収支〜金融資産の取引

リカードの比較生産費説〜貿易とはお互いの得意なものに特化し交換する事であって、競争ではない。貿易はお互いが得をするもの。お互いにメリットがあるから、商売は成り立つ。資本取引でも同じ。投資家は何故、他国の国債を買うのか?利払いがいいから、当事者にとって得だから。

経常収支の均衡を保つ為に、世界各国のお金の貸し借りを全く禁止したら?例:米が日本からお金を借りれなくなる場合→自分の所得以上の支出ができなくなるため、貿易赤字はゼロ。貯蓄率も低い為、資金は不足し、金利は高くなる。金利が高くなれば、企業は設備投資ができなくなる。貯蓄率に見合うところまで、民間投資が減る。日本も同じで、資金の行き場が無くなり、状況が悪化する。

経常収支の黒字の要因
1:趨勢的要因〜資金供給側では、人口統計学的要因。勤労者世代の人口比率が高い場合、一国全体の貯蓄率は高くなる。日本の場合、高齢化社会に到来する為に、貯蓄率は次第に低くなる。資金需要側では、設備投資が関係してくる。つまりその国の産業がどれだけ発展可能性があるかということ。日本の場合、産業が成熟している為、収益性が低い。趨勢的な資金需要はあまり多くないため、国内よりも海外へ資金が流出する。発展途上国では、資金需要が活発な為、赤字になる可能性が高い。
2:循環的要因〜景気循環:日本のバブル経済時、黒字は縮小していた。不況の時は黒字が拡大し、景気が良くなると黒字が縮小する。民間の設備投資は、景気循環から影響を受けるため。景気が良いときは、国内の資金余剰が=海外流出が減少して黒字が減少する。不景気は逆のプロセス。
 政府部門は、景気がいいと黒字化、不景気だと赤字化。→ビルトイン・スタビライザー

債務国は貧乏国、貧乏国に資金が集まるのはおかしいという考え方は正しくない。

TBSストリーム:10/7、町山氏「コラムの花道」

アメリカの経済政策〜レーガン以降、30年間近く市場に任せた自由放任主義的政策。
共和党(保守)が主導の新自由放任主義:政府が介入し、規制を撤廃して、市場に任せる
民主党(リベラル)が主導のリベラル経済主義:政府が規制を設けて市場に介入する
アメリカ独立時、「神の見えざる手」=アダム・スミス古典的自由主義経済が主流だった。規制もルールも無くていい。市場には「神」がいるから、ほっといてもなんとかなるという考えが根底にある。
▽保守=自由主義。何もしない。
○リベラル=平等主義。政府が介入し、社会的平等を強引に行う。
どちらも問題点があるため、どちらにも行き過ぎないようにお互いがコントロール、それが二大政党の存在理由。ある意味、自由主義・有神論対平等主義・無神論の対立。
レーガン以降、産業がものづくりから金融産業へ流れた。ドルがディーラー、ゲームの親だから勝つだろうという事で方向転換したが、負けてサブプライムリーマンショックという展開。規制も撤廃したが、自由放任しすぎて、滅茶苦茶になった。金融が負けて、他の産業が無い為に、大崩壊。
公共事業をやる際には、海外の資金が必要。国債の半分は、日本・中国が買っている。アメリカの信用が下がると、日本も大打撃。未曾有の状況。