『越境者 松田優作』

松田優作本も意外とハズレが無い。この本の特徴は、神格化されてしまった彼の実像を丹念に描写していて、一番面白い。国籍、自分の血、仲間、先輩、仕事、子供、病気、どのエピソードも違った角度から見えてくる。悩んで悩んで苦しんだ、一人の人間だった。著者は、他にも松田優作について書いているのでそっちの本を読んでから、この本を読んだ方が深みが出る。
あの特徴的なパーマは著者がかけてて、離婚でゴタゴタしてた「ヨコハマBJブルース」の頃から直毛になった、というのが新たな発見でした。あと、丸山氏の『優作さんがらみで知っている人の半分は、いまだに恨み骨髄ですからね。』というのも印象に残っている。
『遊戯』シリーズ、「野獣死すべし」が好きかな。作品の瑕疵が魅力なんですよ。