2015.09.17 The Birthday 日本武道館の感想

The Birthdayで付きまとうのは、ミッシェルを引き合いに出す、いつものクリシェだろう。 しばらく、自分も対象化できず、モヤモヤした思いで、The Birthdayを眺めていた。
ところが、この武道館の演奏で、ようやくミッシェルを対象化する事ができた。


残念ながら、ミッシェルのライブを見た事が無い。
CDは持ってたけど、閉所恐怖症の為、超満員のライブハウスが嫌だったし、
フェスすらも嫌悪していた。
ライブハウスにも見に行っていたが、パーソナルスペースを十分に確保できる
公演しか行けなかった。


閉所恐怖症も治まり、ライブ行こうかなと思った頃には、ROSSOも活動休止。
イマイ氏在籍時のライブも見ないまま、たまたまフェスでThe Birthdayを見て
非常に良かったのだが、何故かワンマンに行く機会を作れず。


武道館に行こうと思ったきっかけは、仙台でブンブンサテライツとの対バンがあって、勿論どっちのバンドも好きだったから、即決でチケットを取った。
その時にやった“I KNOW”は、The Birthdayなりの四つ打ちナンバーで非常に格好良かった。
この曲を聴くと、俺はいつも既知外になる。*1
そして、“NIGHT LINE”のハードボイルドな格好良さにも痺れた。
主催のブンブンサテライツも最高に良かった。
残念ながら、その後ブンブンサテライツは川島氏の脳腫瘍の病状が悪化、活動終了*2
してしまったが、今思い出しても素晴らしい企画だった。


The Birthdayが武道館をやるって聞いた時は、行かなきゃいけないという思いに駆られ、チケットを買ってしまった。


感想としては、席は2階席の奥で見えにくかったが、そんなのはプロレスで経験済みだ。
最高の二文字しかない。DVDとしても発売してるから、むしろ映像で見た方が
もっと素晴らしいのかもしれないが、俺は意地でも買わない。
自分の記憶で感じたものを大事にしてたい。


アベ氏の死去と共に伝説となったミッシェル、The Birthdayとどちらが好きかと言えば、俺は断然The Birthday派だ。曲は長いのが多いし、正直かったるいが、それでも推すだろう。
今のThe Birthdayは、歌詞が沁みるのだ*3


私見では、ミッシェル時代は語感と響きをメインとし、意図的に意味性を排除していた歌詞が多い様に思う。
ミッシェル終期、ROSSO、イマイ氏在籍時のThe Birthdayは物語性のある歌詞に変化していた。
そこから、フジイ氏加入後のThe Birthdayでは更に歌詞が進化している。
ルーシーやキキやシャロンやリリィやビリーやブライアンやダニーやサリーやチャド、ルッカアリシアといった人物に意味や物語を仮託せず、更に意味性の高い歌詞を書いている。
ROKAやBILLY BLACKは、モチーフは外人名で一緒でもそこからの心情吐露で、違うステージに立っている。


武道館で初めて「声」という曲を聞いた時、ここまでストレートに思いを出すかとびっくりした。
デビューシングルを「世界の終わり」*4という青年が20年かけて、届け声、というシンプルな歌詞を書いた。そこに、クールな佇まいで知られるメンバー全員が馴れない新曲を必死で演奏し歌っている姿は感動しましたよ。

*1:“I KNOW”の魅力については別の機会に。

*2:解散と言わないところが、中野氏の思いを感じて泣けるよ

*3:『I'M JUST A DOG』から、より沁みる。それは機会があれば。

*4:個人的には、シャレでデビューシングルに持ってきたと思っている