梶原大先生サンプリング的連続妄想小説 

【永田ユージ対バカサバイバー青木 その1】
 2008年の大晦日である。2000年から、まだ8年しか経ていないため、簡単に計算できたし、つい先日永田ユージに倒されたレスラーの1人は、青木の様に色白な白人レスラーだった。
「だがー今夜は、ぎゃくに、あの青木が、たっぷりイケメンの臭い血を絞ってくれるさ」
 期待でおさだまりの馬鹿騒ぎの前座試合をほとんど大観衆は見なかった。期待というより、ユージ・ナガタが真紅のカラーに染まってマットに転がる事は観衆にとって既定の事実すらあった。
 そこまで観衆を安心させる実力者、バカサバイバー・青木、大日本総合格闘技的覇者は、大変な歓声にもたれて出現すると、ロープに手を触れず最上段を一躍し、あまり音も立てずリング内に立った。白いというより蒼白い肉体、敏捷な身のこなしに誰もが勝利を確信していた。
 やや遅れて、観衆の目には小気味よくも哀れな犠牲に映る青い稲妻ナガタのユージがマットに立つ。チラッと一瞥をくれた青木は、闘志にゆがむよりも、もっと怖ろしい表情をした。微笑をした。控え室で、DREAm関係者経由でつたえられたS原氏の意を思い出してそのことの実行に自信があり過ぎての微笑。
「どこまで、徹底的に容赦なくユージを扱えるかで、今後の君の当地DREAmにおける人気は重大に左右されるであろう…」
 61分3本勝負の開始ゴングで、ゆるい動きでマット中央へすすんだユージの出鼻へ早くも青木の体が横ざまに宙へうき、両脚がユージの首をまきこむ。
 猛襲フライング・シザース!からみ倒して、右腕をキー・ロックに決めたのが同時、しかも強烈無比。あまり急速にわが腕の白く変色するのに驚いたように、ユージは無抵抗。
 満場は歓喜のうず。
(続く)